人格者

何歳だか存じ上げないけれども

一人のドクターが引退なさった。

 

川越先生が常勤で勤めるクリニックでのことである。

たいへんな人格者ときいたことはある。

川越先生のいうことであるから

普通は

全く当てにはならないけど

川越先生相手にタメ口なので

人格者なのは確かだろう。

 

「川越!

もし俺が使えないと思ったらその時は

身を引くからお前から言ってくれ」

 

常々そうおっしゃっていたのだそうだ。

朝6時に電話をかけてきて。

 

 

 

川越先生も

長幼の序を重んじるドクターであるから

「その時がきても俺からは言えるわけがない」

悩んでいた。

 

そのくせ

いよいよ

「あの先生にお引き取り願うことが決まった」その時、

まだ内緒だというのに

声のでかい川越先生。

 

 

あ〜あ、

最近

みんな

やめる話ばかり。

 

年をとると

葬式の話ばかりだよ。

あ、みんな生きてるか。

 

働けるうちは

一生懸命働いておきたいよね。

 

 

年をとってからも時間はいくらでもある。

 

 

これから

その先生はどうするんだろ。

 

そう尋ねたら

奥さんの介護や

奥さんのために

料理をするんだって。

 

 

是非穏やかな生活が続きますように。

 

 

そして

時々

寂しそうな川越先生に

朝早く電話かけてあげてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スクールオブロック

ロック英才教育のため

少しくらい夜更かしをしても良いのだ。

 

まずは「スクールオブロック」を

子供に鑑賞させる。

 

 

ロック好きのおじさんの誇張された

面白ストーリーなので

子供でも楽しんでいた。

 

その後、

劇中に出てきた

ディープパープルを

YouTubeで聴かせてみた。

 

 

「パパ、音がうるさいよ!」

 

「いいんだ、ロックだから」

 

「この曲

ママのピアノの音楽とは

全然違うね」

 

「あっちは

クラッシックだからな」

 

 

「クラッシックって?」

 

「バッハとかベートーベンとかな。

ディープパープルとは違う」

 

「でも

パパのギターとも全然違うよ?」

 

 

「?」

 

 

「パパのギターは

もっと

遅くて

ポロン、ポロンって」

 

 

「もう寝なさい。」

 

誕生日

新人の助産師があんまりにも

ガチガチに緊張してたので

指導しているプリセプター経由で

もうちっと力を抜くように

助言した。

 

そうしたところ

予想通りというか

ますます固くなってしまって

喋りかたも

武士みたいになっちゃった。

 

 

途中交代かなと

思ったのだけど

気の毒なくらい

一生懸命やってて

プリセプターも

続けさせてあげたいという

ことだったので

それがし

お産を取ってみい

とあいなったでござる。

 

 

そして

無事に

赤ちゃん

爆誕である。

 

あっぱれ、

なかなか

見事であったぞ。

 

 

分娩介助の

振り返りをするために

少し時間をとったところ

正座みたいになっちゃって

(実際は椅子に座ってる)

両手を膝の上に置いて

剣道の試合前みたいな感じで

わたくしとプリセプターの話を

よく聞いている。

ういやつじゃ。

 

でも、

なんなの、大河ドラマとか好きなの?マジで?

 

「いえ、そういうわけではございませぬ」

 

やっぱり、好きなんだな、きっと。

 

教えたってできるようにはならないけれど

チャンスは

平等に

巡ってくるだろうから

自分のものにして

少しずつ気づいていってくれたまえ。

 

 

君のプリセプターも

そうやって成長した。

 

わたくしもそうだった。

 

数ではない。

一つの分娩をかけがえのないものとして

魂を込めて取り上げたい。

 

 

その赤ちゃんの誕生日が

その助産師の誕生日になった。

 

 

でごさる。ニンニン。

 

 

 

どれが一番大きいか

ポケモンの名前や大きさについて

子供から毎日小テストをされる。

 

うちの職員に

わたくしが臨床の質問をするようなものである。

なかなか厳しい。

 

答えられないと

この前、教えたとか言われるのだ。

 

うん。そうだけど。

うちの職員もこの前教えたことを覚えてないのは

興味がないからなんだろうな。

 

 

大きさが何メートルあって

体重が何キロとかそういう

話、

 

そこから派生して

「パパの友達で一番、体長が大きかったのは誰?」

という

質問がきた。

 

 

人の友達を

ポケモンみたいに…。

 

「ドミちゃんだよ。君も会っただろ?」

 

ゴリアテより大きいんだっけ?」

 

「大きくないよ」

 

「同級生では?」

 

 

忘れちゃったよ。

丸山くんだったかな。たぶん。野球が上手だった。

 

「何メートルくらいあった?」

 

「何メートルもないよ」

 

 

そうだ、丸山くんより

大きい子がいたわ。

 

関口さとし くんだ。

 

荒川幼稚園の有名人。

 

年中さんの頃に園長先生をおんぶして歩いてた。

 

お肉屋さんなんだよ、おうちが。

だからあんなに大きいのかと思って

一度、お肉を買いに行ったら

関口くんのお母さんは

普通のサイズだったぞ。

 

 

あれだけ大きかったら

大人になってからも更に有名になってるんじゃないかしら、

そう思って

検索したら

その通りだった。

 

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/関口聡史

 

身長2メートル越え!

 

バスケの選手だ。

能代工業へ行ったんだ!?

田臥くんの先輩だ。

 

 

あ!

スラムダンクのキャラの一人のモデルだ。

https://mina-ch.com/slamdunk-c/

 

 

幼稚園の時、

関口くんに何度も喧嘩を挑んで

そのたびに負けた。

 

こっちは

気性の荒いだけのチビ助だったから

むこうは

蚊ほどにも思わなかっただろう。

 

パンチしても効かなかったのを覚えてる。

 

悔しくて

夜中布団の中で泣きながら

明日こそどうやって倒すかと

考えていたけど

そのうち

寝ちゃってた。

 

そして

また負けた。

 

 

わたくし、アホだったなぁ。

そして

今も変わってない。

 

 

「負けて恥ずかしかった?」

子供が古傷に触れる。

 

「恥ずかしかったよ。

しかも今となっては

なんてことをしてしまったんだと

反省してます。はい。

でも、懐かしいな」

 

「どうして?」

 

「わからん。

もう戻れないからじゃないの?」

 

ゴリアテより大きいんだ?」

 

「大きくないです」

 

 

 

 

ギター

ピックを買ってきた。1枚100円。3枚。

 

当直室にギターが置きっぱなしになっている。

 


黒いギター。ホントまっくろ。

 

ダストボウルで

確か9800円だった。

 

二年前まではよく弾いていた。

 

久しぶりに

触ってみたくなって

埃だらけのボディを

綺麗にした。

 

チューニングも

こわごわ再開した。

だってペグを

回しすぎて弦がブチ切れそうだったから。

 

6弦からEADGBE。

 

太い方が1なのか6なのか

そんなことまで忘れてしまったので

ネットで調べたのだ。

 

なんとなく手が覚えているコード

CとGとFとAm

を抑えて弦をピックで引っ掻いてみる。

 

音が出た。

 

たぶん

随分ヘンテコな音だ。

 

朝早く

分娩の待機時間とか

一生懸命

指の皮がめくれるまで

頑張った

あの熱心さはどこへ行ってしまったのだろうか。

 

しばらく弾いて誰かが来る前に止めた。

 

楽しかった。

 

 

 

 

 

 

Zoom飲みじゃなくて

3密を避けましょう。

で、

産婦人科では立ち合い分娩まで

制限している。

 

せっかくのハッピーバースデーに

立ち会えないなんて

気の毒すぎるだろう。

 

事務バシタカが工夫をこらして

FaceTimeやZoomを使って

旦那さんのもとへ

赤ちゃんの動画を届ける手筈を整えた。

 

 

バシタカは

患者さんの許可をとって

ナース服に着替えちゃって

iPadを手に持っている。

 

彼女、なかなか優秀である。

いい感じで

赤ちゃんを撮影し

頑張ったママの姿と一緒に

画面に呼びかけている。

 

「おめでとうございます!」

 

パパは画面の向こうで

ほう

とか言ってる。

 

 

ほう、じゃないよ。

フクロウじゃないんだから。

向こうの映像にパパの姿は映ってないの。

どこいっちゃってんのよ。

 

 

恥ずかしいのかもしれんけど

自分の姿もママと赤ちゃんに

みせてあげなよと思う。

どうしていいのかわからんのだろうね。

 

 

このあと

同時録画をしておいた

動画を

バシタカが

編集を施し

なんか音楽を入れて

プレゼントしてた。

 

 

事務みんなで出来上がったその動画みて

泣いてた。

こっちはこっちで、なんで君たちが泣いてんのよ。

 

 

盛り上げすぎなんよ。

音楽のチョイスも

良すぎるだろ。

生まれるところでボリュームあげちゃってさ。

 

 

zoom飲み会もいいけど

zoom分娩もいいね。

新しい。

 

ただ、

はやく

コロナ収まってくれ。

バシタカ撮影隊も大変だから。

あの人たち感動の嵐で涙が枯れてまうよ。

 

 

 

 

 

 

結果発表

 

6時間寝た。

 

朝早く起きて

車で公園までいって

ボールを蹴って

どこかでテイクアウトした

健康的なブレックファストを

食べ

とか計画を立てたのは

昨日だ。

 

その決意もブログに書いた。

 

そして

 

いま、

夕方である。

 

寝坊して

結局公園へ行かず

なんとなく午前中は起きていたけど

まだ眠気が取れず

ちょっと

横になってみた。

 

すると

奇跡が起こった。

 

奇跡としかいいようがない。

わたくしは

時間を超越した。

 

目をつぶって

開いたら

ここにいるのだ。

 

オフトゥンである。

 

若干

照れながら

子供に

オハ?といったら

冷たい視線で

「なまけもの」

といわれた。

 

みんなもう

ご飯を食べ終えている。

 

朝ごはんではない。

夕飯だ。

 

お腹が空いたとも言い出しにくい

雰囲気である。

 

これで

夜寝れないよ。